私が所属する瀬戸田理科クラブでは、70年ほど前に瀬戸田町林で稼働していた瀬戸田鉱山について調べています。その鉱山はタングステンと呼ばれる金属を産出しましたが昭和35年ごろに約10年間の採掘を終え、閉山しました。最近、瀬戸田鉱山で採掘された鉱物が広島大学総合博物館に収蔵されていることを文献で知り、理科クラブのメンバー4人で博物館へ見学に行ってきました。広島大学は山陽自動車道西条ICから20分ほど行ったところにあります。自然豊かな環境の中にあり、すばらしく静かで美しい大学でした。私は大学を取り囲むフェンスがないことに感動しました。総合博物館はその一角にしずかにたたずんでいました。
里山、里海、宇宙などに関する常設展示がなされており、なかには私たちにも馴染み深いハクセンシオマネキの巣穴の石膏鋳型標本も展示されていました。目的の鉱物標本は前もってお願いしてあったので収蔵庫から出してありました。鉄マンガン重石(タングステン)と輝水鉛鉱(モリブデン)です。ともに豊田郡瀬戸田町産と記録されています。タングステンの方はヒトの頭ほどの岩石の中に、幅2cmぐらいの、真っ黒くて硬いタングステン鉱結晶が縦横に走っていました。モリブデンの方はヒトの腹部ほどの大きさの岩石の一部をてかてかと黒光りするモリブデン鉱が占めていました。モリブデン鉱は指で削れるほど柔らかい物でしたが、一緒に行ったK.Aさんは剥がれ落ちたモリブデンをお守りに持って帰ってきました。もちろん許可をいただいた上で。標本については総合博物館学芸員のK.K先生に丁寧に解説していただきましたが、難しくてどこまで理解できたかわかりません。しかし、瀬戸田鉱山調査について、採掘された鉱物を実際にみることによって、実感を得ることができたと思います。これからの活動にプラスの影響をあたえることは間違いありません。1時間ほど見学した後、それぞれの思いを胸に私たちは広島大学をあとにしました。
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