閑居博士のひとりごと。 第50回 『ハクセンシオマネキの巣の周りにはたくさんの直径3ミリほどの砂団子があるのですが、、、新たな発見がありました。』

閑居博士のひとりごと。

ハクセンシオマネキの巣の周りにはたくさんの直径3ミリほどの砂団子があるのですが、、、新たな発見がありました。

ハクセンシオマネキというカニがいます。このカニのオスは片方の手が巨大ハサミで、潮を招くように巨大ハサミを振ることが知られています。このハクセンシオマネキについて、動画を撮ることによって多くのことがわかってきました。

砂団子というのがあります。ハクセンシオマネキの巣の周りにはたくさんの直径3ミリほどの砂団子があるのですが、動画に撮ることによってそれがカニの採餌に係わるものであることがわかりました。

雄の場合、片方の手は巨大ハサミですから採餌は反対の小さい方のハサミで行います。餌の含まれる砂を小ハサミですくいとり何度も何度も口に運びます。口ではエサが砂からこしとられ、残った砂は口の下で直径3ミリほどの団子に丸められます。そして最後に小ハサミでヒョイとつままれて自分の傍ら(巣の周り)に置かれます。そうです、これが砂団子の正体で、餌をこしとった後の砂を丸めて捨てたものだったのです。

メスも同じように砂団子を作ります。ただメスはオスとは違って両手が小ハサミですから採餌も両方で行います。しかし、どちらかの手を高頻度で使う、いわゆる利き手があるかどうかについてはまだはっきりとした結論は出ていません。では、砂団子を傍らに置く手に利き手はあるでしょうか?これもやはり両手を使うことははっきりしているのですが、利き手については残念ながらまだ明らかではありません。

採餌についてオスでは片手、メスでは両手を使うことから一見するとメスの方がオスの倍ぐらいエサを食べるのではないかという推論が成り立ちます。しかし、口でエサをこしとるスピードが律速になっていると思われますので、話はそう簡単ではないと思われます。しかしオスとメスで砂を口へと運ぶ一定時間当たりの回数を比較すると、メスの方が多いのかもしれません。メスはたまごをつくって子どもを孵さなくてはなりません。そのためには多くのエネルギーが必要です。従って体の大きさはオスの方が大きいけれども、採餌量はメスの方が多いというのもあり得ない話ではありません。

このようにハクセンシオマネキについて、動画にすることによって面白いことがたくさんわかってきました。次回もまたハクセンシオマネキの動画による観察結果についてお話ししたいと思います。お楽しみに!

ハクセンシオマネキ・メスの採餌

ハクセンシオマネキ・メスの採餌

閑居博士のひとりごと。 第50回

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