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私は40年自然科学を生業としてまいりましたが、決して科学が得意なわけではありません。
物理、化学、生物、地学の理科4教科の中で、特に化学に対する苦手意識は大きなものがあります。大学入試も化学を避け、生物と物理というあまり例を見ない選択2教科で臨んだぐらいです。その化学に対する苦手意識は今でも私を悩ませます。その苦手意識は中学校に入ってすぐに始まりました。
何がわからなかったかというと、ものが溶けるということがわからない。塩が溶ける、砂糖が溶ける。溶けた後水は透明なままで、塩や、砂糖はどこにいってしまったのか。溶ける前と後で、重さは変わるのか。体積は変わるのか。仮に塩の飽和溶解度をaグラムとしたとき、水にaグラムの塩を溶かした後、砂糖を加えたときに、砂糖はさらに溶ける、溶けない?それはなぜ?今もわからないことだらけです。
私は大学医学部で教員をしていました。学生の中には物理、化学を選択し、生物を高校まで勉強してこなかった子たちが数多くいるのですが、その子たちは、生物を勉強してきた子たちに較べると最初医学の理解が劣るという結果がでています。大学が入学生に対して高校生物の補修を行っていたぐらいです。理科といえども、中学校、高校の経験というものはそれ以降の人生に影響を与えるものだということを、改めて考えさせます。
ホオジロ
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閑居博士のひとりごと。 第16回
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