海岸や農耕地を生息域とするハシボソガラスと森林を生息域とするハシブトガラス
鳥たちは明け方よく鳴くことが知られています。一説によれば、「明け方の空腹時にも俺はこれだけ強く、大きく鳴けるんだぞ。俺は強いんだぞ。」ということを周囲にアピールするためだそうです。そこで私は、明け方、庭のデッキに座り、鳥観察をすることにしました。
我が家は海を臨み、左右を森にはさまれた大体100m四方の集落の中にあります。つまりよく知られたように、海岸や農耕地を生息域とするハシボソガラスと森林を生息域とするハシブトガラスの縄張りが交錯する場所にあります。昨年はハシブトガラスが森を支配し、森の中で繁殖していました。では今年はどうかというと、数は多くありませんが、今のところハシボソガラスが優位にあります。海岸を見下ろす電信柱も、森に面した電信柱、挙句の果てに森の中までもハシボソガラスがのさばっています。ハシブトガラスはカーカーカーと澄んだ声で鳴き、ハシボソガラスはガーガーガーと濁った声で鳴くので双方を鳴き声で区別することは比較的簡単です。
しかし、最近、ハシブトガラスが我が家の一帯に突然やってきました。その様子は多くのハシブトガラスがしきりに鳴き声をあげながら一帯をザザザザと押し洗い流していくような感じでした。
これからのシーズン、カラスはつがいをつくって繁殖に向けた縄張りをつくり始めます。従って彼らの縄張り争いはこれからが本番です。私はまだ見たことがありませんが、縄張りの侵入者に対しては縄張りから出ていくまで追い散らす行動をとると言われています。これまでは、そこまでの縄張り防衛行動は認められませんでした。そして、侵入者がハシブトガラス同士、ハシボソガラス同士の同種の場合とハシブトガラス、ハシボソガラスの異種間の場合で何か違いが認められるかも興味が持たれるところです。
明日からの観察が楽しみです。また報告します。
これこそが科学の本質であると思います。
*この観察記録は1月10日から24日まで瀬戸田図書館にて展示されます。
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