ファイバースコープを入れて、ハクセンシオマネキの巣の中を観察してみました。
ハクセンシオマネキというカニがいます。片方のツメが巨大な大きさ4センチぐらいのカニで、この生口島にも棲んでいます。今回は前回に引き続き、このカニの生態について動画で明らかになったことの2回目で、ハクセンシオマネキと巣穴の関係について紹介します。
ハクセンシオマネキは干潟に巣穴を掘って暮らしています。自ら巣穴を掘ることはもちろん、潮が満ちてきて巣穴を覆うようになると巣穴を閉じてその中に閉じこもります。巣穴への出入りは横向きに歩いて行いますが、穴を掘ったり閉じたりするときに重要なのは、進行方向と反対側のツメ以外の4本の後ろ足です。穴を掘る時は、一旦穴に入って、出てくるときに後ろ足で砂を抱えて出てきて巣の外にその砂を捨てます。一方、潮が迫ってきて巣穴を閉じるときには、入るのと反対の後ろ足で砂を巣の入り口まで抱えて行って、最後に巣に入る時、その砂でヒョイと自分の頭の上で巣穴を閉じてしまいます。一旦閉じてしまうと、どこが巣穴だったかわからなくなってしまいます。
巣に出入りするカニを観察していると、反対向き、例えば巨大爪から巣穴に入ったカニが巨大爪の方から巣穴から出てくることがあります。つまりこれは巣の中でカニが向きを変えたことを意味します。このことから巣の中には向きを変えるだけの広いスペースの存在することが推測されました。そこで巣の中へファイバースコープを入れて、動画で巣の中を観察してみました。覗いた巣の中にはカニがいましたが、案の定、巣の中にはカニが向きを変えられる部屋が存在することが明らかになりました。また巣の壁は硬い甲羅のカニが出入りするにしては滑らかですべすべしたものであることもわかりました。
ハクセンシオマネキの眼は長い柄で甲羅から突き出しています。その眼は巣の中では邪魔になるので折りたたまれていると考えられています。そこで巣から出てくるカニの眼を動画で観察すると、巣から出ると同時に折りたたまれていた眼がヒョイと飛び出す様子を見ることができました。
このように小さなカニですが動画にすることによって多くのことがわかってきました。次回は巨大ツメの役割についてわかったことを紹介したいと思います。
*カニの動画に興味のある方はみのりやさんに連絡してください。お見せできると思います。
ハクセンシオマネキ穴閉め
閑居博士のひとりごと。 第51回
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