充実のニュースレターで顧客と関係強化
投稿コーナー充実図り島内交流促進
瀬戸田で頑張る家電店 みのりや電業
島内2000世帯に手配り 発行は月2回
高齢化や世帯数減少が進む生口島。休日のしまなみ海道自動車料金半額、都市部での商業施設集積に急速な景気悪化が追い打ちをかけ、島嶼部の商店経営や後継ぎ問題は一層厳しさを増しているのが現状。そんな中、家電店「みのりや電業」(尾道市瀬戸田町荻二七二六、田坂修代表、℡0845・28・1708)は、島の南側エリアを中心とした約二千世帯に、投稿コーナーを含め充実した内容のニュースレターを月二回配布して顧客開拓や売上げ維持、島内コミュニティの醸成につなげている。
ニュースレター「てくばりみのりーや」は、B5判四頁カラーの通常号一五〇〇部と、B5判八頁白黒の増刊号二〇〇〇部を交互に月二回程度配布。通常号には商品PRや価格は載せない。増刊号には二代目の田坂文昭店長(29歳)が加盟するアトムチェーンの特選品カタログを挟む。配布地域は瀬戸田町荻から御寺までの南側と因島原町、洲江町。増刊号は一部北側地域にも手配りする。
今年二月配布の増刊号で一九号目。内容は、共同仕入れで全メーカー対応、量販店に負けない低価格で販売するアトムチェーンの強みや元気な家電店が集まる勉強会のレポート、薄型壁かけテレビ設置事例、冬の静電気やヒートショック対策、投稿コーナーと読み応えのある八頁。投稿コーナーには同店そばの南小学校の協力による昔の写真のほか、瀬戸田食糧(瀬戸田町瀬戸田)やボランティア団体のPR情報を掲載した。掲載条件は「手書き限定」で、あたたかみのあるイラストや文章が紙面を賑わせている。掲載店からも「新しいお客さんが紙面を見て来店、お勧め商品を買ってくれた」と喜ばれ、励みになっているという。
創刊は去年の一月。尾道市との合併で町広報誌がなくなり、新たな地域情報誌を望む声が高まる中、文昭さんの「お客さんを地域のヒーローにしたい」との思いから、新たな情報媒体発行を検討。一昨年冬に大型テレビ購入者の設置事例写真を集めたチラシを手配りして「知り合いが出た」「うちにも欲しい」と予想以上の反響を得たことから、新たなコミュニケーションが生まれる紙面の威力を確信し、創刊にこぎつけた。
新規来店も増えているが、文昭さんは「価格への反応か、ニュースレターの効果なのかはまだ分からない」と慎重。しかし創刊と同時に始めたブログ「みのりーやブログ」(アドレス=http://minoriiya.blog25.fc2.com/)に掲載した商品情報から新規来店とテレビ購入につながった事例も併せ、知名度が高まっているのは確実。急激な景気悪化にも前年と比べ売上げは落ちていないという。文昭さんの父で代表の修さんは「確かな工事技術や商品知識から信頼を拡大することを怠ってはだめ。知名度だけでは不安もある」と話すが、文昭さんは「できるだけ続けたい。将来はカラオケ大会などのイベントを開いて、コミュニケーションの場としての機能を強めたい」と力を込める。
介護などの事情で島外だけでなく屋外にも出にくい家族が増え、頼りにされる機会も増す。従来からのパナックとアトムチェーン店を併存しながら、電設工事と食料品店も手掛け、今後も島内の生活をアットホームなグループ経営で支え続ける。
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